アメリカ育ちのコリアン・ボーイからなる3ピース・バンド、ROYAL PIRATES。彼らが昨年末、そのサウンドを大きく変化させた。2013年のデビュー以来、日韓で活躍するIconic Soundsの筆頭プロデューサー、キム・テソンとタッグを組んできたが、昨年末に発表したEP『3.3』ではベテラン・プロデューサーのチョン・ジェユンを迎えて、グレードアップ。ジェユンは90年代中盤にSOLIDというユニットを通じて、韓国にウエスト・コーストの風を感じるR&Bというトレンドを築いたレジェンド。結果、『3.3』ではエレクトロやファンクネスが強化され、よりタフでエレガントな仕上がりを見せた。
そんな彼らが10月26日から28日にかけ渋谷のライブハウスで単独コンサート「ROYAL PIRATES JAPAN LIVE 2016」を開催。“新EPを引っ提げて”という意味では今年3度目だが、ライブ当日はハロウィン間近ということから、いつも以上にパーティー気分がアップ。楽しさ満点となった28日のSHIBUYA THE GAME公演をレポート!
ライブはデビュー曲の「Shout Out」からスタート。「Make some noise!」というオープニングの煽りでフロアはヒートアップし、早くも縦揺れ。続く「ソウルの田舎者」ではドラムスのEXSYが立ち上がって煽り、ファンも両手を上げてクラップ。
サビの大合唱で会場の空気は一つになり、ここからNEW ROYAL PIRATESをイメージづける『3.3』から3曲をプレイ。エレクトロなサウンドが緊迫感を大きくする新曲「Dangerous」ではファンが大合唱し、ジャンプと興奮がマックスとなり、「Too Fast」ではボーカルのMoonがマイクをフロアに向け、オーディエンスのシングアロングを誘う。そしてメロディアスな中にファンクネスを織り込んだ「U&I」で、さらにノリノリに。
一体感で熱く盛り上がる演奏に、鍵盤のJamesは「こんなに汗ビッショリになるのは初めて。スユン(EXSY)さんは(汗で)濡れる時はとってもセクシー」と話し、EXSYは「SEXY EXSY」との声援にダブルピースで応えた。
ディスコサウンドにのせてのメンバー紹介を終えた後は、メローなポジティブソング「Betting Everything」で雰囲気をチェンジ。そしてハロウィンプレゼントとしてドラムンベース・タッチの新曲「Feel so good」をチラリ先行公開。EXSYがアコースティックギターにチェンジした「HARU」「On my mind」で柔らかな音楽を演じた後は、「Blue」という新曲をまたチラリお披露目し、「次のアルバムを期待してね」(Moon)とファンの期待を煽る。
続いたのは3人によるソロ・コーナー。JamesはSOUNDCLOUD上に公開したばかりの新曲をスペシャル披露し、またもファンを沸かす。
『3.3』のプロデュースにも関与したEnik Leeとスヨン(少女時代)がそれぞれ、作曲と作詞でサポートしたというこの曲はスペイシーで、ダンサブル。出来立てホヤホヤの曲を生で聴けたのも、贅沢で嬉しいプレゼント。その後は、改めて3ピース・バンド編成に戻り、最後まで駆け抜けるようにプレイし、本編ラスト「Run Away」のヘビィなアレンジには思わずヘドバンしたくなった。さらにアンコールではメンバーが猫耳のカチューシャをつけながらキュートに演奏し、会場は可愛らしさでいっぱいに。
「新曲聞きたい? でも、歓声が少なかったら、お聞かせしませんよ」なんて焦らしでファンをキュンキュンさせながらも、熱いグルーブでフロアを巻き込んでいったこの日。Jamesはサンプラーを駆使してパーティー気分を盛り上げ、次のアルバムへの期待を高める……そんな素敵なライブだった。
(文:きむ・たく)