トップ・レーベルBRAND NEW MUSICが遂に日本上陸! 韓国ヒップホップのネクストをLive & Directに体感

韓国音楽界のヒップホップブームを牽引するレーベルBRAND NEW MUSICが11月14日、日本で初のショーケース「BRAND NEW MUSIC in JAPAN」(昼夜2公演)を開催。レーベルを代表し、Verbal Jint、San E、PHANTOM、そしてDJ JUICEが熱いパフォーマンスを繰り広げた。ここでは昼の部の模様を中心にレポート!

ロックからバラード、EDMまで跨ぐPHANTOM

先陣を切ったのは3MCからなるPHANTOM。リーダーのKiggen、メインボーカルのサンチェス、MCによるバトル番組「SHOW ME THE MONEY 4」への出演で注目を集めたハンへがそのメンバーだ。それぞれが育った場所(東京、ニュージーランド、釜山)と音楽的なバックグランドを異にするがゆえに、3人が紡ぐサウンドはロックからバラード、エレクトロを跨ぎ、ハイブリッドなヒップホップとして立ち表れる。

チーム名を冠したオープニングトラック「Phantom city」は3人のマイクリレーで演じる完全ヒップホップ・モードだが、メジャーデビュー曲「Burning」はVo & Rapの両刀使いが光り、ハンヘは「ロックフェスのような感じで盛り上がってほしい」とコメント。

「結婚式でよく歌う」と明かす「身一つで来て」は心温まるボッサ調で、“ハイブリッド”の名に違うことなく、音楽的なふり幅が広い。これらの代表曲に加え、まだ彼らを知らぬ日本のオーディエンスに向け、「絶対知ってる」との理由から選んだスペシャル・プレゼントはクマムシの「あったかいんだから~」!

ヒップホップ・アクトらしからぬチョイス、体全体で表現した”あったかさ”にはフロアから大きな歓声が。そして最後はDuck Sauce の「Barbra Streisand」(原曲は往年のファンキーグループ、Bonny Mの「Gotta Go Home」)をコリアン・パーティー・チューンに変換させ、氷上の妖精キム・ヨナをも踊らせた「ICE」で会場内を熱狂の渦に巻き込んだ。

ジーニアスなエンターテイナー、San E

続いたSan Eは韓国ヒップホップ界の“ラップ・ジーニアス”。

衝撃かつ笑激のメジャーデビュー作にある「San Eがやって来たよ」というセリフをサンプリングしたイントロで掴みをとり、まずは名刺代わりにエロチックな「Body Language」を!

そして客演ビートボクサーのJ CUPがステージに入れば、別れをハードに宣告する「不幸だったら良い」にギアチェンジ。その後も再びギアを入れ替えてラブソングな「Love Sick」を歌い、自由自在にフロアをコントロールしていく。

中盤ではJ CUPが「I AM THE BEST」(2NE1)や「江南スタイル」(PSY)ネタを口技で挿入しながらビートボクシングし、予期せぬゲストのマジカルなパフォーマンスに会場は大興奮!

江南スタイルを踊り照れるSan E

その興奮はSan Eの名を世に知らしめた「Rap Genius」で尚も上がっていく。スクラッチ&ビートボックスとのコラボで演じたこの曲には緊迫感が宿り、「俺はラップの天才」なんてリリックにはただただ納得するのみ。そして「SHOW ME THE MONEY 4」で披露した旬の鉄板ソング「M.I.L.E」も交えてさらに熱気を高めていく。

後半はストーリーテラーとしてのセンスを見せつけるポップ・チューンをノンストップで歌ったSan E。会場をシングアロングさせ一体感を生むのも手慣れたもの。ショート・バージョンで歌い繋いだのも、数多くあるヒット曲を惜しみなく披露したいとの思いからか。

そんなファン思いなマインドはいろんな場面に表れ、楽しさいっぱい。フロアに降りてファンにバラの花一輪をプレゼントしたり、握手をしながらラップをしたり、さらには即席でCDにサイン&プレゼントしたりと、ファンサービスにもハンパがない。

またエンディングの「ある夏の夜の密」ではジャンプしながら蚊をパチンとする仕草を演じて劇場性を導入し、エンターテインメント性の高さも抜群!

オフィシャルファンクラブのアドレスを尻文字で告知するなど、ステージをフルに活用した明朗パフォーマンスとさわやかな笑顔でファンを虜にしていく。華やぎのあるステージングと、それを裏打ちするラップ・センスで彼はジーニアスぶりを遺憾なく見せつけた。

感性的なステージで魅せたVerbal Jint

トリを飾ったのは“King of flow”との異名で親しまれるVerbal Jint。

ライブではPHANTOMのサンチェスを全曲でフィーチャーしたのだが、これにはもちろん訳がある。サンチェスとのコラボ曲「十分綺麗だ」で共にステップアップし、この夏、コラボEPをリリースしたばかりの二人。ライブ前日には二人だけで牛カツ(@新宿)を食べたというから、その連携は完璧だ。

感傷的で柔らかな男性の告白を、本人が「女性的情緒の発露」と解説する詩に昇華させるVerbal Jint。彼はキーボードの弾き語り&ラップでステージに立ち、その横にはスウィートボイスを全開にするサンチェスが。

この日歌った「Good Morning」や「You look good」は本来、クォン・ジョンヨル(10cm)やBlack Skirtといったインディ系シンガーソングライターを迎えるが、ここではサンチェスがカバー。が、そこに代役感はまったくない。バックではDJ JUICEが空気感を邪魔しない絶妙なスクラッチを入れ、そのトライアングルはまるでVerbal Jintバンドのよう。彼は詩人でいながら3ピースバンドのマスターとしても自己を表現した。

彼が生み出す空間にはヒップホップが陥りがちな”俺様節”やバウンシーなアゲアゲ感はない。落ち着いた物腰かつ丁寧なステージマナーで演じる舞台は感性的かつ抒情性に溢れ、じっくり聞き入るファンの姿が印象的だった。

でも、幕締めには”やっぱり弾けたい”とのファンの気持ちを汲み取ったかのようにアップテンポな「完璧な日」をセレクト。ファンをウキウキさせる曲でハッピーな明日へと繋いだ。

その後はアンコールの声に応えてオールスターが舞台に立ち、コミカルなフィナーレ「どこで寝たの」で再び絶頂に! DJ JUICEはすべての曲でスクラッチをぶち込んでライブ感、高揚感を高め、レゲエホーンを高らかにかましフロアを煽っていた。

三者三様の魅力を光らせたこの日のライブ。ヒップホップアイドルには真似の出来ない立体感のある構成は韓国ヒップホップの厚さと熱さを体感させるものだった。そしてこの日を皮切りにBRAND NEW MUSICが日本に進出する。彼らの後ろにも個性ある面々が控えているだけに、今後の展開が実に楽しみだ。