元WINNERのナム・テヒョンが帰ってきた。2016年11月、所属事務所のYGエンターテインメントを退所した彼は、今年に入ってSouth Buyers Clubという自身の事務所を立ち上げ、ゴング(Gtr)、ウィミョン(Bass)、ユニ(Key)、ウォンヨン(Drs)という仲間とバンドSouth Clubを結成。8月にデビューEP『90』をリリースし、間を置くことなく、このアルバムを携え、日本に戻ってきた。では、7月8日に開催された「South Club MUSIC FAN MEETING IN TOKYO」(会場:ディファ有明)昼公演の模様をレポート!
前半は『90』収録のオリジナル曲をメインにし、オープニングには奔放な歌詞を弾けるサウンドにのせた「汚い家」をチョイス。続く「I Got The Blues」はテヒョンがステージを楽しそうに舞いながらブルースタッチで歌う。
そして、ギターを手に「Believe U」を歌った後は「ありがとうございます」とシンプルに締め、そんなエンディングでもロックな雰囲気を漂わす。
序盤のラストは暗転した舞台で「ハイ」と声をかけながら「Hug Me」を歌い、「行きましょう!」とファンを煽った後に「アナジョ(抱いて)」と歌ってファンを魅了した。
WINNER時代とは違うバンド形式でファンと再会したテヒョンの第一声は「お元気でしたか? 皆さん、本当に会いたかったです。本当にお久しぶりですね」。そして熱心な声援を送るファンに向け、胸に手を当て「僕、本当に感動しました」と話す。また口々に「お帰り」と叫ぶファンに対し、大きな声で「ただいま」と一言。
カムバックしたことを報告するとフロアからは大きな拍手が起こり、「皆さんが昔と同じように僕のことを今も愛してくれて嬉しいです」と感謝した。
中盤はテヒョンのフェイバリットな洋楽カバーがメインだ。ビートルズの「Don’t Let me down」ではTシャツ一枚になって「Don’t Let me down」とシャウトし、間奏部ではステージに膝をつき、上を見上げた後にうなだれるような場面も。終盤は感極まるように体をジャンプさせ、ロックな感情を体で表現していた。
熱いステージングを見せる彼に対し、ファンからは「テヒョン・オッパ」の大きな声援が! それに「ありがとう」と応えた彼は「暑いでしょう」とファンを気遣いながら「僕も本当、暑いです!」と沸かせる。そして「どう過ごしていましたか?」と続けたテヒョンは「久しぶりの顔も見えますね」とファンの顔を忘れていない様子だ。
「音楽はどうでしたか?」との問いかけると、フロアからは「最高」との声が飛び、思わず彼もにっこり。この日、韓国では「アニ」という新曲がリリースされたのだが、彼は「新曲の日本語バージョンも作っていますから期待して下さい」とのビッグニュースでファンを喜ばす。さらにファンから「何が好き」と聞かれた彼は「あなた」と即答! ファン想いなコメントも以前のままだった。
そんなトークの後は再びカバーソングへ。「Hey~!!」と気合を入れてスタートさせた「When the music’s over」では彼がステージに横になりながら歌い、フリーダムな空気が充満。僕の音楽は終わらない、という思いを歌に込め、最後は右手を高く掲げてフロアをホットにする。
終盤には「僕たちと皆さんのコーナーです」と話し、プレゼントコーナーを準備したテヒョン。3名に抽選で高級バッグがプレゼントされたのが、ここで彼は騎士ぶりを発揮することに! 彼は選ばれたファンの手を取ってステージへエスコートし、また、ラッキー・チャンスを掴んだのが小さな子だと分かるや否や、自らステージを降りて客席へ。
ニルバーナのTシャツを着たロックな6歳児を抱っこしながらステージへと招待し、舞台の上でも手を繋いでエスコートしていた。
そしてハッピータイムの後は「I.D.S」「LIAR」といった再びのオリジナル曲。彼はロックなシンガーソングライターとしての姿を全面に打ち出し、本編はエンディングを迎えた。
アンコールもカバー曲をメインに構成したが、彼はここでもスペシャルプレゼントを用意していた。
「出来るかな? 分からないんですが……」と呟きながら歌ったのは、WINNER時代に発表していた「I’M YOUNG」日本語バージョンで、「これはWINNERの時の……」と言っただけで、フロアからは黄色い悲鳴が! 実は配布されたセットリストにも記載がなく、それほどシークレット&サプライズなスペシャルソングだったのだ。
ファンもまさかのWINNERソングに驚きと嬉しさが交錯する中、彼はキーボードの演奏だけをバックに歌い、終えた後は満足気に頷き、確かな感触を得た様子。
「皆さんをずっと見ることが僕にとって幸せな瞬間です。僕も僕たちも音楽が好きです。いい曲、楽しい曲、幸せな曲、寂しい曲……音楽で皆さんとずっと話したいです」とのコメントで締めた。
まさかのサプライズソングと心からのメッセージにしんみりと聴き入り、感動と興奮が静かに広がるフロアに彼は「大丈夫?」と問いかけ、「最後は楽しい曲で終わりましょう。行きましょう」と呼びかける。そしてラストはビートルズの「Yer Blues」をカバーするのだが、彼はとことんブルージーに攻め、エンディングでは「皆さん、ありがとうございました」と両手を掲げて挨拶。ブルースへの愛着が滲む濃密な90分となった。
厳しいオーディションを経てWINNERとしてデビューしたテヒョンは、WINNER時代のソロステージでもロックな貌を見せていた。South Clubとしての初ステージも、ブルースに軸足を置きつつ、ロックに展開する彼のこだわりが爆発し、「なるほど、これが彼のやりたい音楽だったのか!」と思わしめる内容だった。
(文:きむ・たく)