9月30日、10月1日、今年で15周年を迎える「日韓交流おまつり in Tokyo」が4年ぶりにリアルなイベントとして帰って来た。しかも会場は日比谷公園から駒沢オリンピック公園中央広場へとシフト! 「日韓交流おまつり」は両国の素敵な交流の場所として、新たな出発を飾ったのだ。ここでは、二日目の夜に開催された「K-POP シークレットコンサート」をレポート!
トップバッターは全米を興奮させたMay Tree
昨年、「アメリカズ・ゴット・タレント」に出演し、ボーカルだけで、アニメ「ザ・シンプソンズ」とドラマ「チアーズ」のオープニングを再現。そのミラクルなパフォーマンスで全米を沸かせたアカペラ・グループ、May Tree(2000年結成)がオープニングに登場した。来日は、2011年に金沢で開催されたイベント「金沢アカペラ・タウン」以来となるが、その間、自身のユーチューブ・チャンネルを開設し、登録者数は500万人超えを達成。「イカゲーム」のOSTを演じた動画は2.8億回再生を記録するというビッグネームの登場に、会場は驚きと興奮に包まれた。
幕開けにはドラマ「梨泰院クラス」の挿入歌「始まり」をカバーし、センターに立つヨンフンがサビで右手を大きく掲げると、フロアも右手を突き上げ「Hey!」とシャウト。
歌い終えると、ウォンジョンが「僕達は声のみで言葉を伝えていくアカペラ・グループです」と自己紹介。
その後、「次の曲はとても楽しい曲なので、一緒に盛り上がって下さいね」と話してから、ヴィッキー・スー・ロビンソンが70年代にヒットさせたディスコ・チューン「Turn the Beat Around」を演じ、スギョンがラップ調に演じたり、インタールードでは5人が華麗にボイパの共演で魅せたりと、目にも耳にも楽しさを伝えていく。
さらには「ゴッドファーザー」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「ミッション・インポッシブル」といった誰もが知る洋画主題歌メドレーを畳みかけ、その素晴らしき歌声に会場は大興奮となった。
ユーチューブ・チャンネルではドラマや映画音楽のカバーだけでなく、サウンド・エフェクトも演じて大バズリの彼ら。司会者から「ウィンドウズの起動音」をオネダリされると、リーダーのサンインが「日本でも人気のあるドラマ音楽をお聞かせしたい」と話して、ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」のオープニング曲を生パフォーマンス!
ラストには「どんなに辛いことがあっても希望を持っていこう」という思いを伝えるべく、映画「ライオン・キング」から「Circle of Life」をチョイス。リバーブを効かせた歌声で壮大な雰囲気を作り上げていく。
「約10年ぶりの来日で、当時もいい記憶に残っていますが、今日も皆さんがたくさん盛り上がって下さって、とても気分がいいです」(スギョン)、「これからも機会があれば、日本のステージに立ちたいですね」(サンイン)と話した5人。
早くも10月19日に札幌で行われる「2023韓日友情UTA-FESTA」に出演予定とあって、日本での更なる活躍が期待される。
トロット・アイドルのソン・ミンギョン
続いたのは、2008年の本名でのデビュー後、歌手JBとして、ユニットTHE SEEYAのメンバーとして、そしてまた、ソロ歌手リョとして、幾多のキャリアを重ねてきたソン・ミンギョン!
現在はトロット(韓国の演歌)をフィールドにする、“ファンの耳を蕩けさせるシュガー・ガール”の登場に会場が一気に華やぐ。「皆さん、こんばんわ~、はじめまして~」と、にこやかに挨拶しながら舞台に現れた彼女は、わずか2週間前に発表したばかりの最新曲「いばらの花」をお届け。
オリエンタル風味たっぷりのトラックに乗せたバラード・スタイルのトロットで確かな歌唱力を見せつけ、間奏部では胸に手を当てファンに一礼。続けざまに、今年2月にリリースした「大きいのが来る」をパフォーマンスし、ミンギョンが両手を大きくクラップすれば、ファンも大きな手拍子をプレゼント。彼女が右手人差し指を唇に当てれば、それはイントロが終わる合図で、歌が始まれば、スウィンギー&ダンサブルなトロットに会場もノリノリだ。しかも、サビではEDMトロットへとギアアップし、老いも若きもミンギョン・ワールドの虜に。さらに彼女が「タガッチ、ハナ、ドゥル、セッ」と煽れば、客席も一つになって「クンゴ・オンダ(大きいのが来る)」とシャウトし、盛り上がりがハンパない。ラストに「ありがとうございま~す」と笑顔で締めれば、会場もまた笑顔に包まれた。
「私は皆さんと一生を共にしたいトロット歌手」と自己紹介した彼女は「日本では初のステージ。皆さんの前で歌うことが出来、とても感激です」と話して、会場はほっこりモード。そして「皆さんと大事な縁を結びたい」との願いから、映画「王の男」の挿入歌にして、大先輩イ・ソンヒが歌う「縁」をカバー! さらに「日本に来たからには日本語の曲も!」という想いからBoAの「Every Heart-ミンナノキモチ-」もカバーし、キャリアに裏打ちされたオールラウンドな歌唱力で魅了する。
カバー曲を2曲演じた後は、すかさず自分の名前をコールし、ファンもそれに応えて「ソン・ミンギョン」コール! フロアに向けて朗らかに「愛しているよ!」と声をかけ、片手でビッグハートをプレゼントした後はアゲアゲ・トロットで会場を再び熱狂の渦へ。「いばらの花」のカップリング曲にしてタイトル曲の「どうかしたのか」をパフォーマンスし、客席に「拍手」と呼びかければ、フロアの手拍子はさらにアツくなった。
「今日を皮切りに、日本にも頻繁に来て、もっとステージに立ちたい。次に来た時には、もっと皆さんと遊べるように選曲を考えてきます」と話した彼女は、「カムサムニダ~、ありがとうございます」と感謝しながら、ステージを終えた。
スランが愛をテーマに日本での初ステージ
三番目に登場したのは女性シンガーソングライター、スラン。
昨年、「ULTRA JAPAN 2022」にスペシャル・ゲストとして登場したが、本格的なステージはこの日が初となる。「『愛をたくさん伝えていこう』をコンセプトに、愛にまつわる曲をたくさん準備してきました」と意気込む彼女は、まず、男性シンガーソングライター、ナムセンがペンをとった「Shining Love Song」をカバー。シティポップ風味を効かせて爽やかなR&Bチューンに仕上げ、序盤から会場にラブリーな風を吹かせる。
そして「私はスランと申します。はじめまして。愛してる~」と話し、「知っている日本語を全部言いました」と笑いもとった彼女。男性シンガーのCRUSHと共演した「Love Story」を続ければ、会場は甘い雰囲気で一杯だ。アーバン&ポップなR&Bに心地よく浸っていると、彼女から「携帯を出して、照らして」とのリクエストが投げられ、彼女から見た客席はきっと星空のように輝いていたはず。歌い終えた後には「『私はワンちゃんで、皆さんは猫ちゃん』と思いながら歌いました。皆さん、私と恋に落ちて下さいましたか?」と問いかけた。
雰囲気を変え、メガヒット・ドラマ「ザ・グローリー」から挿入歌の「The Whisper Of Forest」を重く歌いあげたスラン。「ザ・グローリー」だけでなく、数々のドラマを音楽から支えてきた彼女が、「中でも『嫉妬の化身』の『Step Step』が思い出に残る曲」と明かすと、会場も「なるほど」と頷く。
その後は、デンマークの貴公子、ダニエル・シュワルツとのコラボソング「Only One」をロス在住のプロデューサー、Jake Kによるリミックス・バージョンで演じ、終盤ではフロアの手が大きく左右に!
そしてエンディングにはBTSのSUGAがプロデュース参加した「今日酔う」をチョイスし、恋人との別れを惜しむシーンを切なく歌いあげるR&Bにフロアの雰囲気はしっとりと。アンコールでは「1+1=0」をファンキーに演じ、会場のハートをがっちりゲットしていた。
ティーンクラッシュを代表するWeki Meki
トリを飾ったのはTEEN CRUSHな8人組、Weki Meki!
まずはビルボードが2020年のベストK-POPソング、第五位に選んだ「COOL」で圧倒的存在感を印象付け、フロアもヒートアップ。
オープニング曲を歌い終えた後にはそれぞれが自己紹介し、セイは「オーガニック大好き」と自己アピールにも抜かりはない。
また、スヨンは「私たちはずっと日本に行きたいと話していましたが、いよいよ、私たちが来ました~~!」と嬉しさ&喜びを爆発させ、リナは「COOL」について「曲名通り、私たちの格好いい姿が溢れる曲です」と紹介。
「では、一緒に盛り上がりましょう!」とフロアを煽って「OOPSY」へ繋げば、口元に手を当てる振付に可愛らしさが花開く。
さらにセイはファンに投げキッスをプレゼントし、客席は一層の盛り上がりを見せた。
続く「One Day」ではダンスを封印するのだが、その前に、リナが「携帯のピカピカ、振りながらお願いしま~す」と可愛らしくファンにリクエストし、メンバー全員で「お願いしま~す」とアピール。
ペンライト代わりの携帯ライトが揺れる中、メンバーはファンに大きく手を振り、ハートマークをプレゼントしながら、美声を届けた。
終盤ではセイが「皆さ~ん、気分はいいですか~?」と問いかけると、フロアは元気いっぱいに「は~~い」とアンサー。ユジョンは「私たちも(気分が)いいです」と応じ、「Siesta」でファンの心をチアアップさせる。
そしてラストは「Tiki-Taka」をパフォーマンス!
エンディングではハプニングに見舞われたものの、最後は元気に手を振りながら舞台を後にした。
今年も豊かに広がる韓国歌謡の世界を見せてくれたコンサート。来年もまた素敵なラインアップでファンを驚かせてくれることだろう。
(文:きむ・たく)