新大久保にて「ヘイトスピーチ」と呼ばれる過激なメッセージが叫ばれ、店舗や通行人へも恫喝・罵声が浴びせられている問題に対し、差別反対を呼びかける動きが広がっている。
新大久保におけるデモ行進はこの数年実施されているが、2012年夏ごろには「Kill Korea」など過激なメッセージも見られるになった。また行進後、デモ参加者がグループで街を練り歩き、店舗従業員や通行人に対する中傷・恫喝を行う問題も発生。今年に入ると「良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」「射殺しろ」「朝鮮人をガス室に送れ」などのシュプレヒコールが行われ、デモがより過激化している。
これら、人種や国籍などを理由とした差別的言動は「ヘイトスピーチ」と呼ばれる。その影響は、新大久保内店舗や生活者のみならず一般来街者にもおよび、差別的・暴力的光景に高校生が涙を流す様子が、韓国内メディアでも紹介された。
写真引用:日한인타운 반한시위, 日여고생의 눈물 | Daum 미디어다음 – ドキュメンタリー写真家 権徹(ゴン・チョル)氏 撮影
また新大久保地域に限らず、大阪鶴橋のコリアンタウンでも同様のデモが行われており、こうした問題に対し国会議員らが「排外・人種侮蔑デモに抗議する国会集会」を3月14日(木)に開催。
民間でも差別的なデモへの反発の動きが見られ、インターネット上でも差別反対行動への賛同や事態過激化への懸念など、さまざまな意見が交わされている。
そうした中で注目を集めているのが、差別的なデモに対し沿道からプラカードを掲示し反対の意思表示をするもの。Twitterなどインターネット上で、社会人学生の木野トシキ氏が呼びかけている。
日韓両国の言葉で「仲良くしようぜ/친하게 지내요」と書かれたサンプルも有志により配布されているが、プラカードの内容は参加者の自由。「悲しい差別はもうやめよう!」など、平和的なメッセージが推奨されている。
2月17日(日)に実施されたデモに対しては、50名近い参加者が集まり差別反対の意思表示を行った。
沿道の参加者を目にした通行人からも「プラカードをはじめ見たときは意味がわからなかったけれど、内容を読んで意図がわかった。応援したい」(20代女性)などの声が聞かれた。
一方、実際にデモ隊が通過する際には、沿道のプラカードを下すよう警察官が指示する場面も。「なぜこちら(沿道)のプラカードだけが注意されるのか」と前述の写真家 権徹氏が警察官にたずねると、「デモは『ガス抜き』なので……」と警察官は苦笑いを浮かべた。
1ヶ月後の3月17日(日)、この日行われたデモにも反対意思表示の輪が広がり、前回を大幅に超える参加者が沿道を埋めた。
この日は「なかよくしようぜ」「LOVE新大久保」と書かれた風船も配布され、趣旨に賛同した店舗が店頭に掲げたほか、「たまたまデモを知った」という観光客も、風船を手に差別的・暴力的デモへの反対を示した。
同様のデモは3月31日(日)にも予定されており、現在デモコースの変更などを求める署名運動が実施されている。