韓国インディーシーンを牽引するHAPPY ROBOT RECORDSが青山でレーベル・フェスを開催。THE KOXX、THE SOLUTIONS、Life and Timeのインタビューをお届け!

韓国インディーシーンの最有力レーベル、HAPPY ROBOT RECORDS の主要3バンドが来日し、ライブを開催。9月26日、27日(水) の両日に渡り、東京・青山のライブハウス“月見ル君想フ”で「HAPPY ROBOT RECORDS & 月見ル君想フpresents ~PLAY LOUD」を行った。

初日の26日は「the 前夜祭」と題して、THE SOLUTIONS、Life and Timeの2バンドが参加。二日目の27日はレーベル 所属の3組、THE KOXX、THE SOLUTIONS、Life and Timeでライブを行った。
10月25日には日本盤アルバムをリリースする彼ら。その熱き想いを一挙掲載!

Life and Time

Life and tine_2000

2014年5月、EP『The Great Deep』でデビューした3ピースバンド。ジンシル(ボーカル&ギター)、サンウク(ドラムス)、ソンビン(ベース)から成り、ソンビンはTHE KOXXのベースも兼任する。
10月25日に9曲入りアルバム『LAND』(DNME0032)2,000円をリリース。

── 東京でのライブは初めてですか?

ソンビン:
Life And Timeとしては今回が初めて。本当に楽しかったです。

ジンシル:
PAのエンジニアさんのサウンドの作り方が韓国とは違いますよね。そしてお客さんの雰囲気もちょっと違う。韓国のようにあつくノリノリになるというより、集中して聴いてくれて、いい経験になりました。

サンウク:
日本に来ること自体が初めてで、街が本当に綺麗。ライブハウスも同様に綺麗で、そこがいいなと思いました。

ソンビン:
毎回、日本でライブをやって感じるのは、スタッフの方のクオリティが高く、プロフェッショナルという意識が高いということ。本当にいいと思います。

── 日本でのセットリストは何をポイントに置かれましたか?

ジンシル:
日本では初の公演なので、強い印象を残したいと思って、セットリストを組みました。

── ジンシルさんはLoro’sというバンドでも活躍し、ソンビンさんはKOXXでも活躍しています。

ジンシル:
それぞれのバンドの音楽性もそうですが、それぞれ個人の音楽のカラーも違います。そうした個々の音楽性を取り入れたバンドをやりたいと思って始めました。

ソンビン:
サンウクは韓国のロックシーンでは珍しいジャズドラマー。それで違う雰囲気が生まれるんじゃないかと思って、3人で!

ジンシル:
だからサンウクの役割が大きいんですよ。

── 3人の色が上手に溶け合ったのがLife and Time?

全員:
そうです!

ジンシル:
それぞれが個々の個性を十分に表現することをいつも大切にしていますしね。

── 詞は自然をテーマにしたものが多いですよね。

ジンシル:
自然をテーマにしたドキュメンタリーを見たのが、バンド結成のきっかけ。それで、僕らの詞には自然が多いんです。実際、自然も好きだし、自然を歌うのも面白いことじゃないかなと思って。

── ライブでも披露した「Shakin’ trees」のPVは日本で撮影しています。

ソンビン:
1stアルバム『LAND』の4曲を日本でミックスし、その作業のために日本に来るときにツアー・ビデオ風に撮りました。

ジンシル:
エンジニアの中村宗一郎さんが僕らの曲をミックスしてくれました。僕とソンビンとでお互いに撮ったので、自然な雰囲気になったし、丁度その時期、一番仲のいい友達が日本で結婚したので、おめでたい気分も入っています。

── PVに映っているのはソンビンさんとジンシルさんだけです。本当はサンウクさんも参加したかった?

サンウク:
訪日のタイミングと僕の赤ちゃんの出産日が重なったので、出来なかったんです(笑)

── 2016年6月から『CHART』シリーズと題し、往年の名曲をカバーしたシングルを連続リリース。今年3月にはそれらをコンパイルしたEPをリリースしました。カバー曲はどういう基準で選びましたか?

ジンシル:
メンバーの中でも話したし、ファンやスタッフとも話をして決めました。

── カバーしたかったけど、今回は見送ったという曲もありそうですね?

ジンシル:
はい。ソテジや紫雨林とか。

ソンビン:
シン・ジュンヒョン先生の曲もそう。

ジンシル:
バンドの名前にTimeが入っているじゃないですか? それでこのシリーズを作るときも“時間”を意識し、60年代、70年代~のクロニカルを作ろうって。

── EPの最後には自分たちのオリジナル曲「冷たい水」を収録しています。これは2010年代を代表するのは僕達だ、という思いから?

ジンシル:
そうです! そうなりたい、というか。

── まだ皆さんを知らない人のために、お勧めの曲をご紹介ください。

ジンシル:
『LAND』収録の「Flower」。ヴィンテージ感やサイデリックな雰囲気を日本の音楽ファンにも気に入ってもらえるんじゃないかな。

ソンビン:
デビューEPタイトル曲の「虎」。ライブでは必ずやっているし、面白い曲だから、是非!

ジンシル:
僕らは全員1986年生まれの寅年です。

サンウク:
1stアルバムの「Forest」。静かな曲ですが、細部にもこだわっているので、僕達の演奏力が伝わるかなと。

── ありがとうございます!

THE SOLUTIONS

The Solutions_2000

2012年、「Sounds of the universe」でデビュー。ソル(ボーカル)、ナル(ギター)、オギョン(ベース)、ハンソル(ドラム)から成り、その音楽はフューチャー・ポップと形容される。

10月25日、6曲入りアルバム『NO PROBLEM!』(DNME0030)と4曲入りEP『Thumbs Up』(DNME0031)1,500円を同時リリース。

── 日本での公演は何度目ですか?

ソル:
4回目です。一番最初は2014年のサマーソニックでした。

── 結成はいつ頃ですか?

ソル:
2012年から2人(ソル&ナル)でスタートし、2015年から4人組になりました。

── ソルさんとナルさんはどのように出会ったんですか?

ソル:
元々僕達はソロ・ミュージシャンとして活動し、僕のシングルにナルがプロデューサーとして参加してくれて……それがきっかけです。

── お互いがシンガーソングライターですよね。バンド結成当初は意見の衝突とかあったのでは?

ソル:
それぞれの音楽性がまったく違うし、互いにリスペクトしているので、衝突は全然ないですね。

── 今のバンドではソルさんがボーカルですが、ナルさんも時には歌いたくなるのでは?

ナル:
それはありません。もっと静かな音楽なら、歌いたくなるかもしれませんが。

── ソルさんがソロ時代から変わってないものを挙げるとすれば?

ソル:
音楽の表現方法は変わったと思いますが、“歌うことが好き”というのは変わっていません。当時のフォークシンガーとしての僕も僕だし、今のバンドのフロントマンとしての僕も僕。どちらも僕の中にあるものですから。

── バンド名の意味を教えて下さい。

ナル:
特に意味はありません。頭の中で、この名前が急に浮かんだんです。アルバムのタイトルも直感的に決めていますしね。

── ライブではハッピーな雰囲気の歌が多いですね。

ナル:
いろんな感情を表現しているので、多様な曲がありますよ。

ソル:
でも、ライブではハッピーでポジティブな気持ちを伝えたい。僕達の音楽で皆の生活に力を与えられたらなって。

── ハードな演奏をポップに聞かせるのも皆さんの特徴かと思います。

ナル:
ロックが好きだし、ポップな音楽も聴く。いろんな音楽性がミックスされているから、そうなっていると思います。

── みなさんの音楽はフューチャー・ポップと紹介されています。

ソル:
僕たちの音楽を説明できる言葉だと思うし、フューチャー・ポップが目標じゃないかな。

── 未来のポップ音楽を作りたい?

ナル:
未来、というより、ただ、新しい音楽をずっと作り続けていきたいなと。

── 9月にはEP『Thumbs Up』をリリースしました。表題曲はアフリカンなテイストになっています。

ナル:
アフリカ音楽のリズムやメロディに、音楽の持っているパワーを感じ、それを表現したいなと。

── ライブで披露した際、ファンもサムズアップしていました。皆さんがサムズアップしたくなるのはどんな時ですか?

オギョン:
日本に来て、美味しいもの、特にラーメンを食べた時。今回は塩ラーメンを食べたんですが、豚骨ラーメンはまだなので、豚骨ラーメンでサムズアップしたいですね。

ナル:
最近、パソコンを新しくしたので、サムズアップです。ゲームもよく出来るようになったし。

ソル:
海外でライブをやる時ですね。特に日本が一番気分がいいです。

ハンソル:
今回の公演の最初のリハで、音を出した時。その音が良かったので、会場のエンジニアさんにサムズアップしました。

── 会場のバックには大きな月が浮かんでいました。ライブのオープニングで、代表曲の「Ticket to the Moon」を歌いましたが、その時のお気持ちは?

ソル:
会場に入った瞬間、僕等のために準備してくれたのかな、と思いました(笑)。偶然にもオープニングがこの曲だったので、良かったです。

── 女性アイドルグループ、LOVELYZのメンバーKeiさんともコラボし、ポップで疾走感のある「BEAUTIFUL」を発表しました。

ナル:
一緒にやった時間が夢のようで、一瞬で過ぎました。

ハンソル:
PV撮影はずっと朝までやったんですが、疲れませんでした(笑)

── 今後も機会があれば、アイドルと一緒にやっていきたい?

ソル:
機会があれば! もし、僕達と一緒に音楽をやりたいという人がいて、音楽的な方向性が同じだったら、是非やりたいです。

── SMエンターテインメントのプロジェクト、SM STATIONにも「ALL THAT YOU WANT」という曲で参加しました。SMのアイドルにも曲を書いてみたい?

ソル:
がんばります!

── 今後、日本でやってみたいことは何ですか?

ソル:
海外でもたくさんライブをやっていますが、日本でライブをやると一番いい雰囲気を味わえます。というのも、エンジニアさんが僕らが表現したいものを最大限に表現してくれるから。今後も日本でどんどんライブをやっていきたいですね。

── では、皆さんをまだ知らない日本の人にお勧めの曲をご紹介ください。

オギョン:
『Thumbs Up』収録の「Mr. Lover Boy」。僕が初めて作曲した曲です。

ナル:
デビュー曲の「Sounds of the universe」。僕らの音楽はこんな音楽だよ、ということを語ってくれる音楽、僕らの原点、出発点ですね。

ハンソル:
「Thumbs Up」です。今の僕らが表現されていますから。

ソル:
『Thumbs Up』から先行シングルリリースされた「Love Again」です。この曲のメロディに合わせて、いたずらっぽく日本語で歌っているんですが、曲の雰囲気が日本語にぴったり。この曲の日本語バージョンを録音して、機会があれば、リリースしたいです!

── ありがとうございます!

THE KOXX

The Koxx_2000

2010年、デビューEP『Enter』で新風を巻き起こし、エネルギッシュなガレージロックを聞かせる4ピースバンド。ヒョンソン(ボーカル)、SHAUN(シンセ)、ソンビン(ベース)、
スリュン(ギター)からなり、SHAUNはEXOのリミックスも手掛けている。

10月25日、10曲入りアルバム『the new normal』(DNME0028)2,000円と、4曲入りEP『RED」(DNME0029)1,500円を同時リリース。

── 日本でのライブは何度目ですか?

SHAUN:
もう何度目か分からないくらい。前夜祭に日本のMOP of HEADが参加してくれたんですが、彼らと一緒にライブをやったのが6年前のことです。

ヒョンソン:
一度ライブを見てくれたら、僕らのファンになってもらえるよう、ずっと頑張ってきました。

── フジロックとサマーソニックの二つを制覇した韓国のバンドはTHE KOXXさんだけです。

全員:
(拍手)

ヒョンソン:
2015年のフジロックは、僕らが除隊したお祝いのような感じで誘われて。ありがたかったです。韓国でもその夏に安山のロックフェスでカムバック公演をやったんですよ。

── 入隊を経て、2015年、日韓で同時に復活したわけですね。除隊し、再始動した時のお気持ちを教えてください。

SHAUN:
KOXXとしてやるのが3年ぶりだったので、最初はまだ慣れないところもありました。

ヒョンソン:
早く3年前の感覚に戻りたいっていうか。

── 日本で一番思い出の残っているライブは何でしょう?

スリュン:
2012年の2度目のサマーソニック。2011年の1度目はアジアンコーリングという小さな舞台でした。そこで僕たちを評価してもらって、2012年、正式のソニックステージに招待してもらったんです。その時、アーティストラウンジで、アメリカのバンド、Green Dayと一緒に卓球をやって、いい経験になりました。ベースのマイク・ダーントと対戦し、21対19で僕が勝ちました。

ヒョンソン:
2011年、渋谷のエッグマンでやった公演です。日本で最初の公演で、日本のライブハウスのスタッフのプロフェッショナル精神にビックリして、勉強になりました。

SHAUN:
僕も同じ公演。当時共演したCzecho No Republicとは今も連絡をとりあい、彼らを、韓国の僕達のライブに招待して一緒にやったこともありますよ。

ソンビン:
東名阪でツアーをやったんですが、日本のバンドのような経験ができて、面白かったです。

── ライブでも披露してくれた「Trouble Maker」はデビューEPの収録曲です。これは韓国のロック界で、トラブルメイカーのように暴れるぞ、という意気込みを表現したものですか?

ヒョンソン:
韓国では、歌手は、その人の歌のタイトルのような人生を歩む、とよく言われますが、僕らもトラブルメイカーになっていますね。例えば、メンバーたちが物をよく忘れるんです。海外公演に行くのにパスポートを忘れたりとか。

スリュン:
皆、お酒を飲むのが好きなので、酔っ払って、面白いことをどんどんやります。

── その後、女性アイドルグループ、4Minuteのメンバー、ヒョナの「Trouble Maker」をミックスしたバージョンも発表しました。誰のアイデアですか?

ヒョンソン:
韓国のテレビ番組「トップバンド」で披露したものです。アドバイザーのキム・ドギュンさんがミックスしてやってみたら面白いんじゃないって。

── 4Minuteの「Dream Racer」にも参加しました。今後も女性アイドルとコラボしていきたい?

ヒョンソン:
最近はやってないんですが、是非!

SHAUN:
コラボよりは、アイドルと恋愛をやってみたいですね!

全員:
(笑)

ヒョンソン:
ただ、正直な話をすれば、僕らはコラボレーションが苦手。僕たちだけでやったほうが面白い音楽ができるし。双方がスポットライトを浴びることが出来るような機会があればやってみたいですね。

── ライブではデビューEPから「ACDC」も披露していました。これってどんな意味ですか?

ヒョンソン:
まず、音楽のコードがそう。ロックバンドの名前でもあるし、いろんな意味があります。実際はあまり意味がないんですが(笑)

── ライブではポジティブな歌が多いですね?

スリュン:
僕らはポジティブな歌だけじゃないですよ。

ヒョンソン:
ライブではポジティブにエネルギッシュに歌いますけど、僕が思うには、音源とライブは「違うバンド?」と思えるほどに違います。音源と同じように演奏するのも大事ですが、僕らは一つの完璧な流れを持つショー、公演をやりたいんです。

── 7月にEP『RED』をリリースしてから、初の来日です。このタイトルにはどんな意味を込めましたか?

SHAUN:
特に意味はないんですが、赤は僕らを代表する色じゃないかな。

── THE KOXX=赤だ、と?

ヒョンソン:
赤だけじゃないですよ。僕らにはいろんな色があります。

ソンビン:
赤は僕らの最初のイメージ、原点の色。

ヒョンソン:
もっと大きくなりたい、もっと大きなスケールの会場でやりたい、という気持ちもあったんですが、『RED』を作るにあたり、原点に戻ろうと考えて。

スリュン:
個人的にはREDは僕の好きな色です。

── SHAUNさんはジェジュン(JYJ)の「MINE」と「ONE KISS」にアレンジャーとして参加しています。

SHAUN:
曲作りの前にミーティングをやって、直接会って、話をしました。彼が望む音楽の色や好みを把握するために、話し込みました。

── それぞれ、お勧めの曲をご紹介ください。

ヒョンソン:
僕は「Oriental Girl」。これを聴いてもらったら、僕らの音楽的な核を分かってもらえると思います。

── 女性の好みもオリエンタルな方がいい?

ヒョンソン:
もちろんです!

スリュン:
僕らはエネルギッシュな曲だけでなく、エモーショナルな歌もあります。そうした曲は少ないので、すべて聴いてほしいですね。中でも2012年に発表したEP『bon voyage』に入っている「소음 속에 사라진」をお勧めしたいです。

SHAUN:
僕は最新EPの「Blister」

ソンビン:
デビューEPの「Over and Over」です。僕らが頻繁に日本で公演をできるようになったのも、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのゴッチさん(後藤正文)がこの曲を気に入ってくれて、僕らを招待してくれたことがきっかけ。だから、日本の方もこの曲を好きになってくれるんじゃないかなって。

── 今後、日本でやりたいことを教えて下さい。

スリュン:
パチプロになってみたい。今回、初めてパチンコをやってみましたが、負けました(笑)

SHAUN:
僕はDJとしても活動しているので、日本でもDJをやってみたいです。

ヒョンソン:
僕らはK-POPアーティストじゃないので、他の人たちのようにオリコンチャートに入るのは難しいですよね。でも、僕らは日本に呼ばれることが多いので、今後も、普通に日本でライブをやって、ツアーも出来たら!

ソンビン:
小さい頃から日本の漫画が好きで、夢は日本の女性と結婚すること。まだ諦めていません!

── 最後にバンド名の意味を教えてください。

ヒョンソン:
鶏です。僕らの音楽には闘鶏のイメージもあるし、バンド名を考える時も、髪形がトサカみたいだったし。

── 今のヘアスタイルもトサカのイメージ?

全員:
(笑)

ヒョンソン:
そうです!(笑)

── ありがとうございました!

(文:きむ・たく)