CRAYON POP 2013 3rd CONCERTライブレポート

 前回の来日から2ヶ月。韓国ガールズグループ界の問題児“CRAYON POP”が、今年3度目となる東京でのコンサートを行った。12時に開場した昼公演ではフロアが一気に満員となり、彼女たちが衣装として使用するお馴染みのジャージ姿で訪れるファンの集団や、遠く韓国から駆けつけたファンの姿も。開演前から場内に流れるCRAYON POPの楽曲に、熱いコールを入れて盛り上がるフロア。抑えきれないほど興奮も高まったところでオープニングのムービーが流れだし、いよいよライブがスタートした。

 背中にハングルでCRAYON POP、胸にそれぞれの名前が入った緑色のジャージで登場した彼女たち。1曲目は「Bing Bing」のリミックスバージョン。ヤンキー風の不良ぶった仕草やコミカルなロボットダンスで楽しませると、早速フロアからは開演前とは比べ物にならないほど大きなコールが飛び交う。続いてデビュー曲の「Saturday Night」では、ユーモアいっぱいのダンスのなかで複雑なフォーメーションチェンジを繰り返し、さりげなくスキルの高さを魅せつける。

 2曲を終えたところで自己紹介があり、彼女たちが「私たちに会いたかったですかー?」と問いかけると、フロアは熱狂的な歓声で応える。しかし、3曲目の「Dancing Queen」が始まると、歌に入ったところで突如ソユルが演奏の中止を要求。どうやら歓声が物足りなかったようで、コール&レスポンスの練習を行なって再度やり直し。実際は歓声が小さいなんてことはまったく感じなかったが、ステージ上でのこうした茶番的立ち回りからも、3度目という成長がうかがいしれた。続く4曲目には、Shocking Blueの「VENUS」を1986年にBananaramaがカバーしたバージョンで披露。もとよりディスコ調の楽曲が多い彼女たちと、80sポップスの相性は抜群で、ジャージ姿にセクシーダンスというギャップでも楽しませてくれた。
 ここで一旦メンバーがステージからはけると、制服風の衣装に着替えたチョアがひとりステージへ。前回のライブでも大好評だったYUIの「Good-bye days」のカバーを披露し、以前にも増した歌唱力と表現力をアピールする。続いて残りの4人も同じ衣装でステージに現れると、韓国アイドルソングの王道FIN.K.Lの「私の彼氏に」でキュートに変身。アイドルらしいかわいいダンスと、美しい絶対領域に釘付けだったという人も多かったことだろう。そして、5人がイスに座って歌った中島美嘉の「桜色舞うころ」は、各メンバーの個性あふれる歌声を堪能できる貴重な時間でもあった。特にチョアとウェイの双子による伸びやかな歌声はキラリと光り、至るところでうっとり聴き入るファンの姿も。さらにウェイがソロで歌った自作バラード「タクシーの中で」では、前回披露したときにも増して切ない歌声が場内に響き、ライブを通じて曲が成長していることを感じずにはいられなかった。

 前半戦を終えると、MCのNice73(夜公演では古家正亨と2人)がステージに登場し、サプライズが告知される。なんと、ジャージを着て来場したファン全員をステージに上げ、メンバーと一緒に記念撮影ができるということで、ファンたちは大興奮。実に35人(夜公演は40人以上)ものジャージファンがステージに上がると、今度はオレンジ色のジャージに着替えたメンバーが登場。ファンにとっても、彼女たちにとっても、忘れられない思い出ができたに違いない。そして続いてのフォトタイムでは、抽選で選ばれた5名が好きなポーズを指定できるという大サービス。キヨミ、セクシー、プインプイン、ヤンキー、そしていちばんかわいいと思うポーズと、次々と飛び出すリクエストにも満面の笑みで応えた彼女たち。この後も持っていた花をファンたちにプレゼントするなど、ひとりでも多くのファンに思い出を持って帰ってもらおうと努めていた姿が印象的だった。なお、通販サイト「Qoo10」とのコラボにより、ここでファンたちが撮った写真を集めてフォトコンテストも開催されるとのことなので、ライブに行けなかった人もぜひ現場の空気感を味わってほしい。 (Qoo10フォトコンテスト)

 「ジンギスカン」(夜公演では「江南スタイル」)、「Bing Bing」の日本語バージョンを挟んだ後は、メンバーひとりひとりのメッセージムービーがスクリーンに映し出される。そして彼女たちの心のこもった映像が消えたと思った直後、ぴょ〜んとステージに飛び出すソユル。白いTシャツとオーバーオール、ニットキャップというかわいらしい姿は、ペットにしたくなるほど愛らしさでいっぱい。ソロでBoAの「Shine We Are」を歌うと、色違いのキャップをかぶったメンバーがステージに現れ、続いてH.O.Tの「Candy」を披露。曲名に違わぬ甘いメロディーに乗せ、心まで踊るようなダンスをすると、終盤には大量のキャンディーをフロアに投げ入れるサービスも。そして最後は唯一の日本語オリジナル曲「1.2.3.4」。曲が始まると2階から大量の風船が降ってきて、ステージもフロアもこれ以上ないほど幸せな空間に。メンバーも風船を持ちながら前方のファンたちとハイタッチを交わすなど、会場全体がひとつになってライブが終了……と思いきや、彼女たちが去り切らないうちに盛大なアンコールが沸き起こる。ビックリした表情でステージへとんぼ返りすると、そのままモーニング娘。の「恋愛レボリューション21」を披露。誰もが知っているアンセムで、会場中がお祭り騒ぎとなった。
 6月には韓国でのカムバックを控えている彼女たち。「次もCRAYON POPにしかできない衣装とダンスでカムバックする」と宣言し、なかでもダンスは「汗をいっぱいかきそう」とのことで期待は高まるばかり。ちなみに夜公演では新曲の一部をダンスつきでチラ見せするサービスもあり、キャッチーなフレーズに合わせて、その場で合唱が起こるほど盛り上がったことを付け加えておこう。そして、実はこの日が彼女たちのステージデビューからちょうど1年ということで、最後の挨拶ではチョアが「去年のいまごろは家族しかファンがいなかった」と言えば、ウェイは「去年の5月19日に比べ100倍楽しかった。来年は今日の1万倍のファンと、1万倍楽しみたい」と続ける。すると客席からは「東京ドーム!」という声もあがり、この1年で築いてきたファンとの絆を感じさせる瞬間だった。そして最後はその場でファンからのリクエストを募り、「Dancing Queen」を披露(夜公演では1年を記念して、デビューステージで披露したのと同じ「Bing Bing」と「Saturday Night」を披露)。リーダーのグンミが「今日はいままででいちばんファンの人たちとひとつになれた」と言うほど充実したライブは、これ以上ないほどの一体感で幕を閉じた。

(text by タナカヒロシ)
(photos by Hirofumi Miyata)

<setlist>
1. Bing Bing(Remix ver.)
2. Saturday Night
3. Dancing Queen
4. Venus – Shocking Blue
5. [チョア]Good-bye days – YUI
6. 私の彼氏に(To My Boyfriend) – FIN.K.L
7. 桜色舞うころ – 中島美嘉
8. [ウェイ]タクシーの中で
9. ジンギスカン – Dschinghis Khan(Berryz工房ver.)
※夜公演:江南スタイル – Psy
10. Bing Bing(Japanese ver.)
11. [ソユル]Shine We Are – BoA
12. Candy – H.O.T
13. 1.2.3.4
ec1. 恋愛レボリューション21 – モーニング娘。
ec2. Dancing Queen
※夜公演:ec2. Bing Bing (Remix ver.)、ec3. Saturday Night

CRAYON POP 2013 3rd CONCERT
2013年5月19日(日)<昼公演>
@渋谷O-WEST