2005年にソウルでスタートし、2009年から東京、ソウルの二都市で開催されている日韓交流おまつり。その第8回目となる「日韓交流おまつり 2016 in Tokyo」が、9月24、25日に東京・日比谷公園で開催され、二日目の最終プログラムとして「K-POP シークレット コンサート」が開催された。
中島美嘉を愛するホ・ガク
例年、開演時まで出演者が明らかにされず、それもワクワク・ドキドキなこのコンサート。今年も「えっ、こんなスターがっ!」というキャスティングで会場に集まったK-POPファンを驚かせた。
トップバッターとして登場したのは韓国を代表する男性バラード歌手、ホ・ガク!
オーディション番組「スーパースターK 2」で優勝し、国民的人気を享受するまでに成長……そんなトップ歌手が一番手、つまり、会場の温め役として登場するのだからこれほど贅沢なイベントはない。
彼は、ソロ曲としては最も新しい「その日を私の背中の後ろに」を名刺代わりに歌い、続けて、未練たっぷりの別れの歌「Hello」を熱唱。汗びっしょりで熱く歌う姿に客席はみな感動し、本人も「(皆さんに)会いたかった。でも、(今回自分がこの舞台に選ばれたことに)僕自身、びっくりしています。そして、こんなに熱い舞台は初めて」と嬉しそうだ。
昔からL’Arc-en-Cielが好きで、「中島美嘉姉さん、愛してます」と中島美嘉にもラブメッセージを送るが、ホ・ガクといえば別れのバラード。「僕は別れをたくさん経験しているので、過去の経験を思い浮かべながら歌うと、切ないバラードも上手く歌えるんです」と秘訣を明かし、ドラマ「最高の愛」の挿入歌「僕を忘れないで」でもトレードマークなバラードを披露。最後は「スーパースターK 2」で歌ったロックチューン「空を走る」を圧倒的声量で歌い切り、客席もその迫力に手拍子で応えていた。
トロット界に舞い降りた妖精、ホン・ジニョン
続いて登場した女性歌手のホン・ジニョンはトロット(韓国の演歌)界のアイドル。2006年に女優としてデビューし、その後、SWANというガールズグループを経て、ソロデビューしたという経歴を持ち、芸歴の長さではこの日のトップクラスだ。
そんな彼女の東京・初ステージは女性バックダンサー2人を従え、その華やかさに客席はみな色めき立つ。トロットとはいえ、ステージ衣装はピンクのベレー帽にスエード風スカートと、秋を意識したお洒落なファッションをまとい、音楽にはディスコを導入してノリノリ。いわゆる演歌っぽさはなく、彼女が生む明朗な雰囲気は若手アイドルグループにも負けない。
オープニングには世界最速ラッパーのアウトサイダーをフィーチャーした「こんにちは」(歌謡バラエティ番組「不朽の名曲2~伝説を歌う」で披露した曲)をチョイスし、彼のラップパートに彼女が「ハジメマシテ」という挨拶を重ねていく。この曲の元ネタは往年の女性歌手、チャン・ミファが70年代中盤にリリースしたもの。それを愛くるしくアップテンポにカバーし、途中にはヒップダンスも交えるのだから、その歌とビジュアルに老若男女を問わずノックアウトされる。テレビでのお披露目時にはステージ上での生&早着替えで視聴者を驚かせたが、ここではそんな演出も不要なくらいに盛り上がり、彼女は右手を胸に当てて深々とお辞儀をし客席の声援に応えていた。
ヒップホップ演歌ともいうべきミラクルチューンを歌い終えた彼女は改めて「ハジメマシテ」と挨拶。「韓国ではたくさん食べる女の子として有名で、今日もライブが終わったら、焼肉を食べに行こうと思っています。でも、ダイエットするぞと決めたら、絶対食べません(笑)。女性の芸能人として生きていくのは大変なんです」とトークでも会場を和ませる。また、恥ずかしがるときや大きく笑うときは口に手を当て、そんな仕草も可愛らしい。そしてCMにも引っ張りだこな彼女はステージ上でオロナミンCの韓国版CMソングを特別に生披露してくれた。
サービス精神満点のトークの後は、いよいよデビュー曲「愛のバッテリー」のお披露目だ。「貴男が私のバッテリー」という女心を正調トロットにのせて歌い上げれば、客席の男性ファンの目はみなハートマーク。オリエンタルなイントロから幕を開けるダンサブルな「Thum Up (親指チャック)」では浪越徳治郎先生ばりにサムアップを連発し、ファンにビタミンを注入していく。そしてエンディングの「生きるというのは」ではリズムに頼らず、しっかりとした歌唱力をアピール。間奏部ではジニョン自ら、手を左右に振り、自然と客席も大きく左右に揺れた。
東京で大勢のファンを前にし、初の本格ステージとなったこの日、彼女はその気持ちを「オーディションを受けている気分」と表現したが、もちろん結果は一発合格。日本進出を楽しみにさせる見事なパフォーマンスだった。
自虐トークで面白さに磨きをかけたCODE-V
ソロ歌手が続いた前半から一転、後半はグループでのパフォーマンスが続く。まずは日本での活動がメインの5人組CODE-V。
ファンクラブを結成後、5年目を迎えたこともあり、日本語でのMCも手慣れたもの。この日は自虐トークも冴え渡り、コント調のMCが会場に笑いと心地よいテンポ感をもたらす。メンバー自身も「(自分たちが)歌手か芸人か分からない」と笑うほどだ。
そして歌では真剣な表情を見せ、トーク時とのギャップに感動はよりビッグに。もちろん、彼らの本業は歌。ダンス曲、アカペラ、韓国でのドラマ挿入歌、日本語での最新シングル、と芸幅の広さをアピールした。
フェミニンな8人組、Lovelyz
トリを飾ったのはINFINITEの妹分、Lovelyz。大物プロデューサー、ユン・サンのバックアップで、清純なキュートさに可憐なフェミニンさを織り込み、他のグループとの差別化を図る。
この日は「Destiny」「Ah-choo」を含む代表曲4曲を歌い、自分たちの個性を披露。昨年4月の初来日以来、こうした合同イベントに招聘される機会の多い彼女たちだが、この日の公演は今後の日本本格上陸への予告だろうか?
リーダーのBabysoulは「本当に日本に来て活動したい。これからも機会があれば、どんどん日本に来たい」と話し、スジョンも「『For You(あなたへ)』のPVは日本で撮ったので、絶対見てね!」と日本での関わりをアピール。単独来日に弾みをつけたか。
日本のK-POPファンから、それほど注目度が高いとはいえないジャンル(本格バラードやトロット)の歌手を招いたこの日のコンサート。それはK-POPが日本でまだまだ浸透する可能性を示唆するものだった。
(文:きむ・たく)
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