「目標は秋葉原ライブと世界ツアー!」PRITZ日本初の単独ショーケース

前日にK-POPカバーダンスイベント「DREAM ON!」へサプライズゲスト出演したPRITZ(プリッツ)が1月12日(月・祝)、渋谷WOMBにて日本初の単独ショーケース「人類最大難題SHOWCASE IN TOKYO」を、Vol.1・2と昼夜続けて開催した。

まずは昼のVol.1。
期待に胸をふくらませ集まったファンは約150名。中にはクランクたちを軍手で自作したファンの姿も。

“걸스출동(Go Girls!/ガールズ出動)”でまさに勢いよく出動したPRITZは、新人らしい元気のいい自己紹介で「PRISM」(PRITZファン)との対面の喜びを表現した。

そして間髪入れず企画コーナー「これが私たちの特攻隊“魂”」へ。メンバーが秘めた特技を発表するものだが、ハナ、アリ、シュアはそれぞれ幅跳びにでんぐり返し、馬跳びとなかなか解釈の難しい特技を披露。この日のMC、古家正亨氏安定のフォロー力を引き出した。

しかし圧巻はユナ。名前の由来「ユリ・ゲラー ナイススプーン」よろしくスプーン曲げにチャレンジし、メンバーからエナジーを受けるとスプーンは見事にぐにゃりと曲がり、ついにはポキンと折れてしまった。

前日のインタビューでも「明日を楽しみにしていてください」と不敵な笑みを浮かべていたが、秘められた別格の特技に会場は大きくわきあがった。
この公演でユナはソロステージも披露。Siaの“Chandelier(Piano Version)”をしっとりと歌い上げ、メインボーカルとして超能力だけではない実力を見せつけた。

またPRITZはテコンドーショーでの板割りや、箱の中身を当てるゲームなど体当たり企画にも挑戦。MCにて他のグループとの違いを聞かれたシュアが「一生懸命がんばっています!」と元気よく答えるも、「他のグループも十分一生懸命やっていると思いますけどね」と古家氏から冷静なツッコミが飛び笑いを誘った。

公演は終盤も“수박수박 수박송(スイカスイカ スイカソング)”にショーケースタイトル曲“인류최대난제~오에오에~(人類最大難題~オエオエ~)”など代表曲でヒートアップ。すっかり興奮したメンバーたちも、「浮気しちゃダメよーダメダメ」とどこかで聞いたフレーズでファンとの別れを惜しんだ。

Vol.1を終えサイン会をするPRITZ

赤と黒のワンピースに衣装を変えたVol.2は、クランクのギターもますます冴えたメタル調楽曲“Sora Sora”から幕開け。

Vol.1から引き続き来場した観客も多く、大きく響くかけ声とすっかり息のあったオリジナル曲ほか、PRITZの定番カバー曲ともなっているCoolの“애상(哀愁)”やPapayaの“사랑만들기(愛作り)”と、中盤はPRITZの代名詞的ライブステージで駆け抜けた。

そしてMC。「クランクは元々どこから来たか知っていますか?」と客席に問いかけ紹介した曲はまさかの、宇宙から来たクランクとかけての“インベーダーインベーダー”(きゃりーぱみゅぱみゅ)。この2日間、「好きなアーティストは?」のインタビューやMCにて幾度となく名前が挙がるほど敬愛するアーティストの1人だ。

その後も“スイカスイカ スイカソング”からハナが元所属したグループでもあるC.L.Oの“놀GO먹GO(遊んで食べて)”、また90年代韓国ポップスの名曲“뿌요뿌요(プヨプヨ)”(UP)カバーと、最後の曲までアクセルを緩めることなく飛び跳ねた。

だが当然このまま終わるはずもなく、「アンコール」の大合唱に誘われ、グループのプリントTシャツに着替えうれしそうに再登場したPRITZ。アンコール曲は、またもメンバーが愛する日本のアーティスト、ももいろクローバー“行くぜっ!怪盗少女”だ。

再び“Sora Sora”で締めるとMC古家氏が登場。全てを出し切り汗まみれになったメンバーにこの日の感想を聞くと、それぞれ想いを爆発させた。

ユナ
「いつも愛してくださってありがとうございます、私もいつも覚えておきます」
シュア
「本当に本当にありがとうございます、感動して言葉が出てきません(泣) 今日は少し失敗もありましたが、ぜひみなさん私たちのこと、今日のステージのことを覚えていてください」
アリ
「日本のみなさん、今日本当にありがとうございました……サランヘヨー!(泣)」
ハナ
「(泣いているメンバーたちに対し)なんでやねーん!(泣)もう終わりました、悲しいです……。愛してるよー!」

涙ながらに感謝を叫ぶメンバーにつられ、客席にも涙を流す観客の姿が。そしていよいよ本当のラストソング、客席リクエストによる再アンコール“オエオエ”でフィナーレとなった。

こうして終了した日本初の単独ショーケース。
本人たちも話した通り、パフォーマンスには多少の失敗はあったかも知れないが、初々しさが光るステージだった。

何より特筆すべきは、特にVol.2にてほぼ60分、メンバーたちのみで日本語MCをやり切ったこと。しかもカンニングペーパーは一切無し。
インタビューからの2日間を通じ彼女たちに感じた強みは、日本語の「うまさ」ではなく、日本のアイドルカルチャーのように枠にとらわれない「遊び」と、言語ふくめそこに取り組む真摯さだ。

昨年“Sora Sora”が発表されるとすぐ、日本のアイドルメタルユニットBABYMETALの「パクりだ」との批判が上がり、「ノイズマーケティング」とも揶揄された。インタビューにてその件を聞くかは多少の迷いもあったが、全くの杞憂だった。
BABYMETALはじめ、「好きなアーティストは?」と聞けば日本人歌手の名前が次々と挙がったのは前記事の通り
実はPRITZプロデューサー SQR氏や同行スタッフたちと話してみても、「モーニング娘。」を日本語で語ったり、「日本の中古ロックCDを買いたいですが、どこにありますか?」とたずねられるほどだった。

従来の「K-POPライブ」として想像される歌やダンスとは全く異なる軸の、一面では日本の新人アイドルのようなショーケースでもあった。ただしそれは、安易なコンセプト踏襲とは全く一線を画す、メンバーにスタッフそれぞれが「心から好きだからたどりついた自然体のスタイル」だと実感できた。

「秋葉原でライブをしたいです!世界ツアーも!」──。

日本のアイドルを愛し、世界を夢見るK-POPグループPRITZ。
公演終了後に会場移動の道すがらも、「かわいいかわいいー!」と日本の景色や看板にはしゃぎ、目を輝かせる姿が印象的だった。